なにぶん自分で最初から作るのは初めてのことなので、 なるべく製作過程を残すようにしておきました。 Tama電動飛行倶楽部の皆さんから教わったノウハウを自分なりにアレンジしながら、 軽く、シンプルに、必要強度は確保、という飛行機に仕上げようとしています。
スケールタイプの主翼の製作はこちらにまとめ中です。
これに合わせて、前輪引き込みに改造します。
RC飛行機実験工房の中に、
JavaFoil(翼型解析プログラム)の紹介
という、翼型の性能、特性を解析してくれるプログラムがあることを知り、あれこれと試してみました。
その結果、NACA 6415という翼型の底面を平らにして、高さ方向を1.1倍にしたものに決めました。
こちらにさまざまな翼型のデータが整理されています。
このときの解析で、FLAPをつけると低速でも揚力が確保できるように
かん違いしてしまったのが、翼の構造を複雑にする一つの要因でした。
実際に飛ばしてみると、着陸時には思ったほどフラップの効果がわかりませんでした。
高速飛行時にフラップを下げると、ぐーっと上昇します。これはよくわかりました。
でも、重さも増えるし、面倒なリンケージも大変なので、次からはフラップは無くして
シンプルにしようと思います。
まずはリブを作り、エルロンとフラップ部を切り落として組み立てます。
すでにここで二つの失敗をしています。
一つ目は、Tama電動飛行倶楽部の皆さんの機体を観察しているときに気がつきました。
スパー部にバルサ板を貼り付けて縦方向の強度とねじれ耐性を持たせるのですが、
バルサの木目を横方向にしてしまいました。
試してみるとわかりますが、木目を横にした2mm厚程度のバルサ材を親指と
人差し指で上下から力をかけると、いとも簡単にパリンとわれてしまいます。
木目を縦にすれば、簡単には割れません。
きれいに貼り付けたのを剥がすのもくやしいので、強度確保のため
瞬間接着剤をバルサ板に塗りつけて対応することにしました。
二つ目は、主翼の右と左の接続部です。リブ7枚分の寸法で左右の翼を作ったので、
接続部に左と右のリブが重なってしまいました。
この部分にはフラップ用サーボや、引き込み脚用サーボを搭載する予定なので、
どうしてもスペースが必要です。幅60mmの航空ベニヤを間に入れて左と右の翼を接続しました。
中央部にリブが出っ張っていますが、これもよくありませんでした。 あまり器用でない私はサンディングのときに何回もここをへし折り、 そのたびに瞬間接着剤で修理したので、よく見るとフランケンのようにつぎはぎだらけです。
RedBaronの上翼と並べてみました。 翼弦の長さは 150mmです。でこぼこしているところがありますが、あとで削っていきます。
左右の接続部です。エポキシで接着しました。上半角もきっちりだせて、 自分にしてはうまくいったと思います。
大分工程が飛びますが、一部を1.5mmバルサでプランクして、 引き込み脚とフラップ用の軸をつけたところです。 しばらくの間は、引き込み脚用サーボを手で動かし、 脚が格納されたり出てきたりするのをみてにやにやしていました。
脚が格納されたところです。
引き込み脚用サーボの拡大です。サーボホーンに取り付けてあるのは、
自作イージーコネクタです。ABS樹脂の棒にドリルで穴をあけ、
タップを立ててネジ山をきっています。結構貧弱そうですが、
手で思い切り引っ張ってもびくともしませんでした。
これは思いつきで試したのですが、手間がかかるので次からは通販で
買ってすませることになるでしょう。
胴体前方から見たところです。
枠は、3mmx5mmのバルサを四角に組んで作っています。
CADで作った図面を原寸で印刷し、その上にバルサ材を乗せて瞬間を垂らして作りました。
底の部分は曲線を出したかったので、内側に三角のバルサ材を貼り付けておき、
あとからサンディング板で削って仕上げています。
最初は、ここの部分を1.5mmバルサ板を曲げて作ろうとしていました。
大失敗。1.5mmといえどもバルサ板はR15に沿っては曲がってくれません。
一箇所を試してだめだったので、すぐに三角材方式に変更しました。
あと写真だとわかりにくいですが、胴体上側の側面はわずかに内側に傾けてあります。
ほとんど左右対称に作れました。でも最初はA枠とB枠の部分の側面板の高さが合っていなくて、
一度剥がして付け直しをしています。
胴体の後方を翼のはまる部分から見たところです。 側面の上側が内側に傾いています。
モーターマウント部です。1.2mm航空ベニヤを貼り付けています。 白いのが3つあるのは、スポンジ両面テープです。 モーターの振動を少しでも減らせたらと思って貼り付けています。
翼を固定するナットの部分です。3mmネジ用のナット(四角い形の)を ベニヤで挟み込んで接着しています。
翼前方から出ているφ1.2mmカーボンを差し込む穴の部分です。 カーボンの薄い板(カーボンリブキャップ)で補強しています。 更に、ベニヤ板でも補強をしています。 (カーボンの上側部分左右2箇所の切れ込みのところ) 穴の部分には瞬間を垂らしてバルサの強度を高くしています。
翼固定部(後ろ側)を下から見たところです。
翼の形に合わせて傾きを持たせています。ここら辺、現物合わせで作っています。
胴枠の部分がうまく外側から削った曲面に合わず、へこんでいます。
上からフィルムを張れば見えなくなると思い、そのままにしています。
モーターマウント部を内側から見たところです。
ここは後でモータの軸の位置が低いことが判明したため、
約5mm上側に貼り付けなおしています。
胴体と胴体上部、水平尾翼、垂直尾翼の部品です。
胴体と胴体上部を貼り付けて、、水平尾翼、垂直尾翼を仮組みしたところです。
全ての部品を組み立てて、フィルムまで貼り付けたところです。
白フィルムはHyperion製を使いました。1本1380で購入したものです。
糊面に保護フィルムが無いタイプで、扱いやすいです。
赤フィルムは、京商製です。秋葉原で1本500円の安売りで買ったものです。
尾翼の可動部は、MPJ-2513というナイロンフレックスヒンジ(中)を使って取り付けています。
モーターを取り付けたところです。 ワールドモデルスで買った、980円ブラシレスモーターです。
ラダーとエレベーターのサーボ取り付け部です。 奥のほうでガイドのパイプが動かないように固定しています。 フィルムを張る前に、パイプが通る穴を胴体に開けてあります。 フィルムを張った上から指で押すと穴の部分はへこむので、 その部分のフィルムをカッターで切り取っています。
受信器取り付け部です。スロットル、ラダー、エレベーター、 右エルロン、左エルロン、引き込み脚、フラップと、7チャンネルが必要です。 写真は胴体についているスロットルとラダー、エルロン分のサーボが接続されているところです。
胴体前方部のハッチを裏からみたところです。前方はカーボンを胴体の穴に差込み、 後方は磁石で固定するようにしました。丸いのは磁石にくっつけるためのワッシャです。
ハッチのカーボン部分です。最初は中央に一本だったのですが、 モーター取り付け位置をずらしたために、こちらの位置も左右に変更しました。
モーターをとりつけたところです。実はダウンスラストもサイドスラストもついていません。
ここからは、キャノピーとモーターカバーの製作のための冶工具の製作です。 掃除機を使った真空引きというのでプラスチックをきれいに成型できるという 情報を元に作ってみました。 100円ショップで買ったダンボールの箱と、パンチボードです。
3mmドリルで均等に穴をあけてダンボールに木工用ボンドで貼り付けました。 掃除機で吸い込んだときの力に負けないように、ダンボールの内側に支えとなる木材を 貼り付けておきます。これも100円ショップで買いました。
掃除機用に、フィルムが巻いてあった筒を切って、穴を開けて差し込んで完成。
でも、これではうまくいかなかったのです。
硬質カードケースを止める枠です。これは上の吸い込み部より大きくないとうまくいきません。 あたためてやわらかくなったプラスチックで全ての吸い込み穴をふさぐように覆う必要があります。 1箇所でもふさぎ漏れがあると、空気の流れがそこに集中してしまい、うまく型がとれません。 硬質カードケースA4も、100円ショップで買いました。
キャノピーの型をとっているところです。型はバルサの芯と紙粘土で作りました。
最初におおざっぱな形を作っておき、完全に紙粘土が乾燥したらサンディングボードで削ります。
人間の目と手だけでも、結構左右対称なきれいな曲面が作れることがわかりました。
硬質カードケースは、ガスレンジで熱を加えました。均等に熱を加えないと、
一部だけ他よりもやわらかくなりすぎてしまいます。こうなると真空引きしたときに
そこだけ伸びますので、薄くてパリパリになって失敗します。ここまでくるのに4枚失敗しています...
うまいことやわらかくなったカードケースを真空引き冶工具に押し当てると、
シュボッという音と共に一瞬で型に密着します。30秒くらいそのままにしておくと、
カードケースが冷えて固まりますので、取り外して必要な部分を切り出します。
上の方の写真より幅が狭くなり、やわらかくなったカードケースで完全に
吸い込み穴をふさいでいます。
切り出して、型を抜いたところです。
こちらはモーターカバーの部分を作っているところです。 こんなに垂直のような型でもなんとかなっています。 型の下には厚み1cmくらいの木切れを両面テープで固定しています。 これがないと、裾野が広がってしまいます。
モーターカバーの型。3x3cmのバルサを4つと5mm厚バルサを使って ブロック状にしたものを削って作りました。後から下側の部分を追加しています。 バルサ片を木工用ボンドで固めて、乾いてから削りました。 でも木工用ボンドはうまく削れないので、よく切れるカッターで形を整えました。
キャノピーをのせたところです。うまい固定方法が思いつかないので、 しばらくはテープで止めておこうかと思います。
モーターカバー無しで、4/15に初飛行させました。
初めて設計図から作ったにしては、よく飛んでくれたと思います。
脚を引き込んだ状態でのローパスで目の前を通過させると、
操縦しながらついニヤニヤしてしまいます。翼を作り始めてから約半年かかりましたが、
とても満足です。
手持ちのプロペラを数種類試しました。電流と回転数はMさんに測定してもらいました。
8x5 12A 10500rpm RedBaronで実績のあるプロペラです。
モーターのパワーが今までより増えているせいか、余裕で飛んでいます。
PC-9の方が飛行速度は速くなりました。
7x6 15A 9000rpm ものすごいパワーです。2mで離陸してしまいました。
スロットルを上げたときのスピードに操縦者(私)がついていけません。
Mさんがランデブー飛行を試みてくれましたが、私の機体が予測不可能な動きをしていたため、
早々とあきらめていました。(スピードが速すぎて思うように操縦ができませんでした。)
あまりの速度に引き込み脚もフラップもプロポの操作ができません。
Mさんにプロポのレバーを操作してもらい、無事に帰還することができました。
7x3.5 7A 非常にマイルドになりましたが、フルスロットルにしても力不足です。
これは明らかにパワー不足でした。
あまり径の大きいプロペラだと離着陸時にプロペラが地面をたたきそうなので、
7インチ以下を使いたいので、こんど7x4 7x5あたりを用意して試してみたいと思います。
どうしても着陸のときにつんのめってしまいます。地面が砂地に近い土だと、
どうしても摩擦がおおきいようでのめります。いつもつんのめるので、
地面とこすれるところにスポンジでも貼り付けておこうかと思います。
実は最初に飛ばしたときアンテナ線を丸めて胴体の中に入れたままでした。
運良くノーコンにはなりませんでしたが、あぶないところでした。
翼をつけた写真が無いので、今度整理しようと思います。
今の翼はPC-9を想定していたわけではないので、本物とは形が違っています。
そのうちにスケールっぽい翼にして、前輪方式+引き込み脚にしたいです。
2007.4.21
朝から風が強く吹いていたので、少し色をつけました。まだモーターカバーは白のままです。
尾翼部分のアップです。
コントロールホーンは 1.2mmベニヤにドリルで穴を開けただけです。
翼をつけたところです。いい感じです。
アングルを変えてみました。
引き込み脚を下からみたところです。
真上からだとこんな感じです。作り始めの時は簡単な形の翼にしようと思っていたので、
実機とは異なった形状です。翼幅も全長に比べて長いです。
現在の仕様です。
項目 | 仕様 | 備考 |
機体 | PC-9 自作機 | 2007.4 初飛行 |
全備重量 | 415g | |
全長 | 630mm | |
翼幅 | 860mm | |
翼弦 | 150mm | |
翼型 | NACA 6415 底平、高さx1.1 | |
翼面積 | 12.9dm2 | |
翼面荷重 | 32.1g/dm2 | |
モーター | ブラシレス WTG2408-21 | 980円! |
電池 | Lipo 3cell 800mAh | |
ch | 7 | AMP ラダー エレベータ 右エルロン 左エルロン ギア フラップ |